「仮定法が全然わからない」
「時制がこんがらがってしまう…」
「If がないときの仮定法の見分け方を知りたい」
英語学習者の大半が、一度は仮定法につまずきます。種類が多く、文構造も複雑なので教科書を丸暗記するだけでは太刀打ちできません。
僕も仮定法でつまずいていました…
ですが本質さえ理解できれば、一撃です。「仮定法がわからない…」という方のために、この記事では以下の内容について解説します。
- 仮定法の基本的な考え方
- 基本公式
- If を使わない公式
- 慣用表現
基礎から応用までわかりやすく解説していくので、少しでも仮定法に不安がある方は必読の内容になっています。ぜひ最後までお読みください。
( note:【イングリッシュおさる】英語スクール生の実績 )
英語の仮定法のポイントは「助動詞の過去形」基本的な考え方を解説
仮定法= If は間違いです!
仮定法のポイントは「助動詞の過去形」です。「もし~なら」を表す If を目印にして仮定法を探している方も多いと思いますが、実際のネイティブの会話では If がない仮定法のほうが多く使われます。
助動詞の過去形がポイントである理由は、以下の2つです。
- 助動詞は感情伝達に重要な役割を果たす
- 過去形は心理的な距離感を表す
仮定法では、直訳の先にある感情まで読み取れるようになるのがベストです!例えば、
If I were a bird, I could fly freely in the sky.(もし僕が鳥だったら、空を自由に飛べるのになあ)
という文章では「鳥になりたいなあ」という願望や、うらやむ気持ちまで感じられますよね。ですが、実際は人間が鳥になることはできません。
ここで、過去形の持つ「心理的な距離感」が重要になってきます。現実離れした妄想であることを強調するために、仮定法には助動詞の過去形が使われています。
助動詞の過去形を見たらまず仮定法を疑う、くらいの気持ちでいるのがおすすめです。
英語の仮定法の基本公式5選を例文とともに詳しく解説
こちらでは基本の仮定法の公式について解説します。
まずはこの5つをマスターしましょう!
- 仮定法過去
- 仮定法過去完了
- 仮定法ハイブリッド
- should を使う仮定法
- were to を使う仮定法
まずはそれぞれの公式を10回ずつ唱えて覚えてしまうのがおすすめ。見た目の時制と、実際の時制に注意しながら確認していきましょう。
1. 仮定法過去
If S 過去形, S would 原形「もし(今)~ならば…だろうに」
仮定法過去は見た目は過去、中身は現在の妄想を表現します。例文を確認していきましょう。
If I knew where he was, I would pick him up.(彼がどこにいるのかわかれば、迎えに行くのになあ)
「彼がどこにいるのか分かれば」は「今」わかるなら、ということですよね。そして、実際は彼の居場所がわからないので迎えに行けず残念だなあ、というところまで読み取れると完璧です。
would は could や might などになることもあります。
If I knew where he was, I could pick him up.(彼がどこにいるのかわかれば、迎えに行けるのになあ)
could は「~できる」might は「~かも」というニュアンスが追加されます。
2. 仮定法過去完了
If S had 過去分詞, S would have 過去分詞. 「もし(あのとき)~だったら…だったろうに」
仮定法過去完了は見た目が過去完了形で、中身は過去の妄想です。仮定法過去からひとつずつ時制が前にずれています。
If I had known he would be there, I wouldn’t have gone.(彼が来ると知っていたら、私は行かなかったのだが)
「行かなかった」のが過去で「彼が来ると知る」可能性があったのは、さらにその前のことですよね。そのため、過去完了が使われています。
3. 仮定法ハイブリッド
If S + had + 過去分詞 , S + would + 動詞の原形「もしあのとき~だったら、(今)…だろう」
前半は仮定法過去完了、後半は仮定法過去と同じ形になっています。
2つの文法事項がどちらも使われていることから、僕は「ハイブリッド」と呼んでいます!
仮定は過去のこと、妄想自体は現在のことです。
If I had practised more then, I would be a pianist.(もしあのときもっと練習していれば、ピアニストになっていただろう)
「もっと練習する」という仮定は過去のことですが「ピアニストになる」という妄想は、現在のことですよね。会話などでもよく使われるので、必ずマスターしましょう。
また、仮定法過去完了・仮定法ハイブリッドともに助動詞の過去形は would 以外にも could や might が使われることもあります。
4. shouldを使う仮定法
If S + should + 原形, S + would + 原形(または命令文)「万が一〜なら,・・・だろうに(または〜しなよ)」
今までの3つは現在や過去の仮定法でしたが、残りの2つは未来についての用法です。未来のことなので、いくら妄想であっても起こる可能性が0%とは断言できません。そのため、主節には助動詞の過去形が用いられないこともあります。
実際は命令文が来ることが多いですよ!
If you should miss this train, catch the one 10 minutes later and you’ll still make it.(万が一この電車を逃しても、10分後の電車に乗れば間に合うよ)
should を使う仮定法では「万が一~なら」「まあないと思うけど、もし~することがあれば…しなさいね」といったニュアンスを押さえておきましょう。
5. were to を使う仮定法
If S + were to + 動詞の原形, S + would + 原形「もし仮に〜なら、〜だろう」
were to を使っても未来の仮定法を表現できます。should を使う場合と大きく異なるのは「were to は実現可能性を無視している」という点です。
were to を使う際は、実際にその事象が起こるかどうかを全く問題にしていないということを覚えておきましょう。例えば、
If I were to win the lottery, I would like to buy a bigger house.(もし宝くじに当たったら、大きな家を買いたい)
という文章では「宝くじに当たる」ことが起きるかどうかは、全く考えていません。「とりあえず起こるかどうかは置いといて」というニュアンスで使います。
そのため「実際に起こり得ること」「万にひとつも起こらないこと」のどちらも表現できます。
【発展】If を使わない英語の仮定法5選!訳し方や見分け方のコツを解説
「If がないと仮定法だと判断できない…」という方も多いのではないでしょうか?ですが実際には If がない仮定法のほうが、よく使われます。
そこで、こちらでは If を使わない仮定法の公式と、訳し方や見分け方のコツを解説します。
- wish を使う仮定法
- 倒置が起こる仮定法
- 副詞が If の代わりになる仮定法
- 名詞が If の代わりになる仮定法
- If が完全になくなる仮定法
助動詞の過去形に注目してみましょう!
それぞれ確認していきます。
1. wishを使う仮定法
I wish (that) S 過去形「(今)~ならなあ」
I wish (that) S had 過去分詞「(あのとき)~だったらなあ」
見た目が過去形なら現在、過去完了形なら過去の妄想を表す、という点は普通の仮定法と同じです。
I wish I were rich.(私がお金持ちだったらなあ)
wish を使う仮定法では助動詞の過去形は必ずしも使われない、という点に注意しましょう。wish を見たら「仮定法だ!」と考える癖をつけるのがおすすめです。
wish を使うと「夢物語」であるニュアンスを表現できます。あまり現実味のない願い、というイメージです。
2. 倒置が起こる仮定法
Were / Should / Had + S V, S + 助動詞の過去形
Were / Should / Had のいずれかの動詞が、文頭にきていたら「仮定法かも」と考えましょう。コンマ以後が「助動詞の過去形+原形」なら仮定法過去「助動詞の過去形+have 過去分詞」なら仮定法過去完了と同じです。例えば、
Had I had more time, I would read a lot of books.(もし時間があったら本をたくさん読むのになあ)
という文章を普通の仮定法に直すと以下のようになります。
If I had more time, I would read a lot of books.
すべての動詞で倒置が起こるわけではないので、Were / Should / Had だけ注意すればOKです。
3. 副詞が If の代わりになる仮定法
副詞, S 助動詞の過去形
様々な副詞が文頭に来ると、仮定を表現します。使われる副詞には、以下のものが挙げられます。
- To 不定詞
- 時・場所の条件
- with / without
- otherwise
例文を確認してみましょう。
To hear him sing, no one would believe he was five years old.(彼が歌うのを聞けば、彼が5歳だとはだれも思わないだろう)
To 不定詞が仮定法の条件になっています。If を使って書き直してみると
If you heard him sing, no one would believe he was five years old.
となります。助動詞の過去形があって突然副詞が文頭にきている場合や、with や otherwise など特定の語がある場合は仮定法を疑ってみましょう。もちろん仮定法としてでなく使われていることもあるので、慎重に考えてくださいね。
4. 名詞が If の代わりになる仮定法
名詞, and S 助動詞の過去形
名詞 + 助動詞の過去形
この用法でも、まずは助動詞の過去形が文中にあることを確認するのが第一歩です。助動詞の過去形を見つけて「仮定法かも?」と思えたら、あとは If を使う仮定法と同じように訳せばよいので簡単です。
A person with common sense would not do that.(常識を持った人なら、そんなことはしないだろう)
A person with common sense(常識を持った人)が仮定法の条件になっているのがわかりましたか?If を使って書き直すと、以下のようになります。
If a person had any common sense, he or she would not do that.
訳すときは If を補って「もし~なら」とするのがおすすめです。
5. If が完全になくなる仮定法
If 節も、代用表現も使わずに仮定法を表すことがあります。長文問題などでは頻出なので、マスターしましょう。
ここでも助動詞の過去形がポイント!
I overslept. I would have made it to class.(寝坊してしまった。もししていなかったら授業に間に合ったのにな)
I would have made it to class. には仮定がないように感じられますが、実際には「If I hadn’t」が隠されています。仮定法ハイブリッドの文章ですね。このように文脈や常識から「~だったら」が明らかな場合は、If 節などの仮定は省略されます。
助動詞の過去形が使われていたら頭の中に「この文章は仮定法かもしれない」という考えが浮かぶようにすると、非常に読解がしやすくなりますよ。
英語の仮定法の慣用表現7選
仮定法でよく使われる慣用表現を例文とともに紹介します。
1. as if:まるで~のように
She behaved as if she were my mother.(彼女はまるで私の母のようにふるまった)
2. if only:~しさえすれば
If only I’d studied harder I could have passed!(もっと勉強しさえすれば合格できたのになあ)
3. I’d rather:むしろ~がしたい、~するほうがよい
I’d rather you didn’t.(できればしてほしくないのですが)
4. If it were not for:(今)~がなければ
If it were not for electricity we would not be able to live.(電気がなければ我々は生活できないだろう)
5. If it had not been for:~がなかったなら
If it hadn’t been for his help, I wouldn’t be alive.(もし彼の助けがなかったなら、私は生きていなかっただろう)
6. but for:~がなければ
But for your advice, I should have failed.(あなたの忠告がなかったら私は失敗していただろう)
7. It is time S V:もう~する時間だ
It’s time we left.(そろそろ出発する時間だ)
慣用表現は覚えることが多いですが、音読を繰り返して体にしみこませましょう。仮定法についてもっと詳しく知りたいという方には、「【一撃で覚える】仮定法完全攻略【完全保存版】」の動画がおすすめです。
わからないところは何度も読み返して、ぜひ仮定法をマスターしてくださいね!
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